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《みことば》 「新しい世界」
《聖  書》 ルカによる福音書 21:25-28,34-36

人々の期待

 イエスの誕生当時、人々は世の終わりに神が自ら王としてこられることを期待していましたし、すぐにでも神の国が到来すると考えていました。しかしながら、イエスによってすでに神の国が始まったにもかかわらず、神の国の完成は将来の出来事になりました。人々の期待とは違った形で神の国が始まったのです。では、それはどのような世界なのでしょうか。地球上のどこにそのような世界があるのでしょうか。

新しい世界

 イエスの到来によって新しい世界が始まりました。しかし、それは人々の期待していたような世界ではありませんでした。人々の期待した世界は、神の力によってすべての敵対する勢力が滅ぼされ、すぐにでも神の国が実現する世界でした。
 ところが、イエスの誕生にもかかわらず、あいかわらず敵対する勢力があり、人間同士が争っている世界が続いています。世界中のあらゆるところで戦争が行なわれ、いまだに飢えで死んでいく人たちがいます。これで本当に新しい世界が始まったのでしょうか。どこに新しい世界が見いだされるのでしょうか。
 この問いに答えるためには、イエスの行動をよく理解する必要があります。さらに、イエスの行動によって始まった新しい世界が、どうやって完成されるのかが問題です。

 新しい世界の建設

 新しい世界がイエスによって始まったとしても、それを受けつぎ完成させていく人が必要です。それは、私たち一人一人に課せられた大きな務めです。クリスマスまでの待降節の期間、このことについてよく考え話し合うことが、イエスの誕生を迎えるにあたってのよい心の準備となります。
 私たちは今どのような世界を築こうとしているのでしょうか。もし、ただ神の働きだけを期待していたのでは、新しい世界の完成はありません。イエスはすでに十字架上で死なれたのです。弟子である私たちがその行動を引き継がなければなりません。
 世界の変革は大変なことです。しかし、一人一人が新しい世界の建設のために働かない限り、世界の変革は起こりません。私たち一人一人の小さな努力によって、新しい世界が築かれていきます。特に待降節の期間、私たちに何ができるかを考え、少しでも実行に移しましょう。

待降節第1主日C年(瀧野正三郎)
[こじか1979.12.2号掲載文を加筆修正]

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