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《みことば》 「真理」
《聖  書》 ヨハネによる福音書 16:12-15

真理

 神が「真理」であるという表現は古くから使われてきました。それは特に、信頼に値するもの、又は、確かなものという意味で使われてきました。私たちが祈りの時に使う「アーメン」という言葉は、「真理」のヘブライ語の同じ語源から作られたもので、確かに、本当にという強い同意を表わしています。
 ヨハネによる福音書では、「真理」は神のことを示すのでなく、神のみ言葉であるイエスのことを示しています。イエスは自分のことを、「私は道であり、真理であり、命である」(14:6)と言われます。さらに、イエスは弟子たちに真理の霊を送ると約束されました。聖霊の働きによって真理が表わされるのです。
 神についての呼び名は、色々あってそれを限定する事ができません。むしろ、神の無限の働きを表現するために、いろんな表現が使われてきました。「真理」という表現もその一つです。

父と子と聖霊

 教会において、父と子と聖霊を、三位一体の神と呼んできました。しかし、この三位一体の神という表現は、教会の伝承の過程で使われるようになったのであり、聖書においてはこの表現は使われていません。
 ヨハネによる福音書14:1-31では、父と子と聖霊の関係について説明がなされています。イエスは父である神に至る道である。イエスを見た者は、父を見たのである。父はイエスの名によって弁護者である聖霊を送る。
 人が神と結びつけられるために、神からの働きかけはいろいろと示されています。人はそうした神からの働きかけを受けてはじめて、自分にも神の力が働いていることに気づくのです。神のことをうまく説明しても、なんにもなりません。むしろ、どうしたら、神の働きかけを感ずることができるかを知る必要があります。

三位一体の主日C年(瀧野正三郎)
[こじか1980.6.1号掲載文を加筆修正]

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