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《みことば》 「占星術の学者」
《聖  書》 マタイによる福音書 2:1-12

占星術の学者

 占星術の学者たちが東方からイエスを礼拝するためにやってくるという主の公現の出来事の物語は、マタイによる福音書にだけ伝えられています。
 当時の占星術の学者たちとして考えられるのは、ペルシャやバビロニアの星占いや、夢占いをやっていた学者で、祭司を兼ねていた者です。しかし、使徒言行録13:6では、同じ言葉を魔術師の意味で使っています。
 マタイによる福音書は、占星術の学者たちが東方からはるばるやって来たことを伝えることによって、イエスこそユダヤ人が待望していたメシアであり、しかも、ユダヤ人だけでなく、異邦人もその福音に招かれていることを強調しています。このメシアは、ユダヤ人指導者たちによって拒否され、ユダヤ人のみならず、異邦人にも福音が伝えられるようになります。つまり、新しい神の民である教会には、ユダヤ人も異邦人も共に含まれています。そして、異邦人への宣教は、イエスの意図に基づいていることが示されています。
 マタイによる福音書は、ヘレニズム地域のユダヤ人キリスト者の教会で作られ、ユダヤ人への宣教と異邦人への宣教の対立を解消する意図があったものと考えられています。

すべての人の救い

 このようにしてみると、今日の福音の内容は、イエスの誕生がユダヤ人のためだけでなく、すべての人の救いにかかわりをもっていることを伝えたかったにちがいありません。イエスはごく限られた人々のためでなく、すべての人々のために生れたことを、この物語は私たちに伝えています。私たちもこの喜びの知らせを、自分たちだけのものとしないで、多くの人々と分かち合っていきましょう。イエスの誕生はユダヤの地に限られていないのです。

主の公現の祭日B年(瀧野正三郎)

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