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《みことば》 「家庭」
《聖  書》 ルカによる福音書 2:41-52

 キリスト者にとって「家庭」の模範は聖家族の姿であり、自分たちもこの姿に近づこうと努力してきました。しかし、よく考えてみますと、聖書ではあまり聖家族のことは語られていません。私たちはむしろ自分たちの描いている理想の家庭の姿を、聖家族に当てはめて考えてしまっているようです。
 今日の福音によると、イエスは両親から離れて一人神殿に残ります。現代の社会を見た時に、たくさんの人たちが家族から離れて一人で生活しています。
 高度成長の時代、「金の卵」としてもてはやされ、中学を卒業して働く子供たちが集団就職する光景は今ではニュースで見られませんが、今でも中学・高校を卒業して就職のために家族から離れて一人で暮らしている子供たちがいます。
 最近では、父親も会社の都合で転勤させられ、子供の学校の都合で、単身赴任している家庭が増えてきています。
 更に、たくさんの滞日外国人も、日本で仕事をしてお金を稼ぐために、家族から離れて出稼ぎに来ています。
 また、日本人の高齢化にともない、年寄りが増えていますが、仕事の関係で離れたところで暮らしている子供のところにいくよりは、住み慣れたところのほうがいいという理由などもあって、一人で暮らしている年寄りが増えています。
 こうしてみますと、たくさんの人達が、様々な理由によって家族から離れて一人で生活していることがわかります。「家庭」について考える場合に、このような人たちのことも忘れないでほしいと思います。
 理想の家庭の姿を考えるのでなく、現実の家庭の姿を出発点にして、いかにすれば、福音に根ざした家庭を築いていけるかを探していくことが大切です。

聖家族の祝日C年(瀧野正三郎)

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