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《みことば》 「いつくしみ」
《聖  書》 ルカによる福音書 1:39-56

いつくしみ

 「いつくしみ」という言葉は、非常に広い意味を持っていて、「愛」、「あわれみ」、「恵み」の意味にも使われますが、特に大切なのは契約との関係です。契約を結んだ者同志が相互に決められた事に「忠実」をつくす意味も含んでいます(サムエル記下2:5)。
 聖書で繰り返し出てくる事は、神が先祖に約束した事を必ず守るという言葉です。神がイスラエルの民を選んだという申命記の個所で、「契約」と「いつくしみ」を並べて使っているのもこのためです(7:9,12)。いつくしみとは、契約を必ず実行するという神の愛なのです。
 神は両親が子どもを罰するように、その民を罰されます。これは決して神が誓われた約束を忘れてしまったからではありません。自分の選んだ民を正しく導くためです。神のいつくしみとは、ただ人の機嫌をとる事とは違います。それは旧約のイスラエルの歴史を見れば明らかです。たとえ自分が愛された民であっても、又、わざわざエジプトの地から導いて約束の地に入れた民であっても、その地から追い払われるのです。
 しかし、たとえ民がいましめを守らず、土地から追い出されても、神は契約を破る事はしません(レビ記26:40-45)。

マリアの賛歌

 マグニフィカトとして有名なマリアの賛歌では「憐れみ」と訳されていますが、イエスが神から遣わされる事により、神が契約に忠実である事をたたえています。この賛歌の中で、神が力のない者を助け、権力ある者をくだく方として描かれています。
 神はいつくしみを忘れる事がありません。私たちがたとえ忘れてしまっていても、神はいつも私たちを導いておられるのです。聖書を通して私たちは救いの歴史を学びます。そして、この同じ神が私たちのうちに働いておられるのです。

聖母の被昇天の祭日(瀧野正三郎) [こじか1976.1.25号掲載文を加筆修正]

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