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《みことば》 「サマリア」
《聖  書》 使徒言行録 8:5-8,14-17

 サマリアは、イスラエルとユダの国に分裂した時代(紀元前992-721)に、イスラエルの首都として、南北に走る主要道路に面した丘の上に建設されました。アハブ王の時建てらた宮殿は「象牙の家」として知られています。
 サマリアの住民は、初めから異教の神々に従っていたので、預言者たちは偶像礼拝を非難し、町が滅びると警告していました。特に、紀元前8世紀に活躍したアモスとホセアは、神に従うという約束を守らないと、どのような苦難に会うかを告げましたが、民はその警告を無視し、アッシリアによって滅ぼされました。サマリアの住民たちは、捕囚として連れ去られ、その代りに、アッシリアの地域からの移民が住みつきました。
 少数の混血のユダヤ人たちは、サマリアに残り、ゲリジム山で神を礼拝していました。新約時代、この人々は「サマリア人」と呼ばれ、ユダヤ人から軽蔑され、きらわれていました。
 フィリポは、6章の記事では、宣教ではなく食事の世話をするために「七人」の一人に選ばれたと伝えられていますが、サマリア宣教では、使徒として、みことばを語り、奇跡を行なう宣教者として描かれています。
 ペトロとヨハネの派遣は、エルサレム教会が常に中心的な存在である事を示そうという意図の表れです。しかし、フィリポの活躍は、エルサレムにとどまって、ユダヤ教の枠から出ようとしない使徒たちにとって、大きな刺激となっていた事は明らかです。
 フィリポの働きを通して、私たちも、自分たちの狭い殻を打ち破り、新しい世界へ挑戦する勇気を持つ事の大切さを学ぶ事ができると思います。

復活節第6主日A年第1朗読(瀧野正三郎)

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