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《みことば》 「交わり」
《聖  書》 使徒言行録 2:42-47

初代教会

 使徒言行録によると、初めの頃の信者たちは、誰かの家に集まってパンを裂いていたと伝えられています。キリスト教が正式にユダヤ教から分かれるまでにはかなり時間がかかったようです。初めは自分たちの集まるための場所もなかったので、誰かの家に集まっていましたし、当時の神殿にもお参りしていましたから、ユダヤ教の一派とみなされていました。
 更に、信者たちは、精神的な交わりだけでなく、物質的にも互いに交わりをしていたと伝えられています。使徒言行録では、すべての物を共有していたと伝えられていますが、実際にどうであったかは今ではわかりません。ある聖書学者は、ルカ福音書記者が理想的な姿として描いたと考えています。使徒言行録5章によりますと、必ずしも全員がそのようにしていたわけではありませんでした。しかし、この記事から考えられる事は、信者たちが精神的な救いだけでなく、物質的な救いにも関心を持っていたという事です。

信者の交わり

 キリスト教が後になってローマ帝国の国教になると、政治との結びつきを深めていく事になります。その結果、司祭自身が大土地所有者となったり、人々を支配する立場になっていきました。
 こうした教会の姿を批判する動きが宗教改革へとつながっていきます。教会がその批判を素直に受けとめなかったために、カトリックとプロテスタントの教会に分かれてしまいました。その頃、カトリックの教会の中にも刷新の動きがあり、アシジのフランシスコのように、修道生活を始める者もでてきました。その精神は、初代教会の交わりの生活を模範としていました。
 私たちキリスト者は、修道者と同じような生活をする必要はありませんが、互いの交わりを通して、お互いの生活にも関心を持ち、必要に応じて分かち合う事が求められています。

復活節第2主日第1朗読A年(瀧野正三郎)

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