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《みことば》 「立ち上がる」
《聖  書》 ヨハネによる福音書 20:1-9

 春が来ると、冬の間死んだようになっていた木や花がはえ出て来て、見違えるようになります。私たちの回りでも、春になると、冬には見られなかった事が起こります。ちょっと、自分たちの回りをよく注意して見ると、今まで私たちが気づかないでいた事がたくさんあります。普段からもっと外に出て、自然を観察したいものです。
 イエスが十字架にかけられて殺された後、弟子たちはこわかったので、それぞれどこかに隠れていました。しかし、しばらくたつと、弟子たちは人々の前に現われて、みんなの見ている前で話すようになりました。いったい、弟子たちに何が起こったのでしょうか。
 イエスが十字架にかけられて殺された事によって、弟子たちはちょうど冬になると枯れて死んだようになる木のように元気がなくなってしまいました。でも、春になると死んで枯れてしまったような木からも、新しい芽が顔を出すのと同じように、元気がなかった弟子たちの心に、かすかな希望がわいてきました。
 その事が今週の福音で語られています。ぺトロともう一人の弟子は、この時何を考えていたのでしょうか。弟子たちは、イエスが復活するという言葉の意味を理解していませんでした。でも、イエスが死なれた事によってすべてが終わったとは思っていませんでした。何かが起こる事を期待していました。
 墓がからっぽになっているのを見ても、すぐにイエスが復活したとは思いませんでした。でも、この出来事によって、こわくて隠れていた弟子たちの心に力がわいてきました。ちりぢりになっていた弟子たちも、だんだんと集まってきて、互いに励まし合うようになりました。こうして、弟子たちはみんなの前で公に話すようになりました。弟子たちは人々に向かって、「イエスは復活した」と話し始めました。
 どうして、あれだけこわくて小さくなっていた弟子たちが、急に元気づくまでに変化したのでしょうか。イエスは弟子たちの望みに答えず、むしろ、期待をうらぎって死んでしまいました。しかし、弟子たちはそこで希望を見つけ、自分たちがイエスにかわって立ち上がるべき事を知りました。

復活の主日A年(瀧野正三郎)
[こじか1990.4.15号掲載文を加筆修正]

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