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《みことば》 「叫び」
《聖  書》 マルコによる福音書 10:46-52

エジプトでのイスラエルの叫び

 聖書において、「叫び」「叫ぶ」ということばは、信仰表現に用いられています。特に、出エジプト記にその特色が出ています。
 エジプトの恩人であったヨセフのことを知らない新しい王が支配するようになり、イスラエルの人々に重労働を課して虐待しだすと、イスラエルの人々は奴隷の状態に置かれるようになりました。
 『イスラエルの人々は労働のゆえにうめき、叫んだ。労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。神はイスラエルの人々との契約を思い起こされた。神はイスラエルの人々を顧み、御心に留められた。』(出エジプト記2:24-25)。 この信仰表現は預言者にも受け継がれていきます。新しい契約を伝えるエレミヤ書31:7に見られます。

あきらめない心

 私たちは自分たちの置かれている現状に対して、たとえ不満があるとしても、当り前だとか、しかたないと思って、すぐにあきらめてしまいます。しかし、あきらめてしまうということは、現状を認めてしまうことであって、間違った状態を正しい方向に変えていくことはできません。
 やはり、おかしいことはおかしいと叫ぶことが大切です。すぐに現状が変わらないにしても、一人でもおかしいと気づいた人が叫び続けることによって、今までおかしいと気づかなかった人が、一人でも、二人でも増える可能性があります。現状を変える可能性があることを、いつも信じ続けることが大切です。

年間第30主日B年(瀧野正三郎)

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