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《みことば》 「おきて」
《聖  書》 マタイによる福音書 22:34-40

律法社会<>

 イエスの時代、旧約のおきては律法として絶対的な基準になっていました。当時、律法を守るために、さらに細かい言い伝えが作られていました。そして、律法学者が指導者となって、人々に律法を守らせるように教えていました。

隣人を愛せよ

イエスの答えた第一のおきては、当時のユダヤ人なら誰でも認めるものです。しかし、第二のおきては特別です。たいていの人なら、安息日を守ることとか、初物を神に捧げることとかを答えるでしょう。ここにイエスの思想と行動の特色がみられます。
 イエスは、当時の律法社会にあって、多くの苦しんでいる人たちを見ました。そして、この人たちこそ神の救いを必要としていると感じました。しかし、実際には、この人たちは人々から相手にされず、神殿にも入れませんでした。また、自分たちは神からも見捨てられたと思っていました。
 「隣人を愛しなさい」という言葉は、このような意味で、当時の律法社会を批判した言葉です。イエスは人々が律法の名のもとに人を差別していることに、怒りを感じたのです。
 現代社会にも、残念ながら、同じような状態が残っています。キリスト者は、イエスと同じように、こうした差別に怒りをいだかなくてはいけないのに、むしろ、キリスト者自身が差別を作り出しています。
 お前なんか、教会に来る身分ではないという目で人を見たり、あいつは信者のくせに日曜日もミサにも来ないで、平気な顔をしていると言って人を差別しているのです。
 隣人を愛しなさいと言いながら、身近なところで人を差別しているのでは、何にもなりません。困った人を助けるだけではなく、人を差別して困らせないようにしないといけません。

年間第30主日A年(瀧野正三郎)

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