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《みことば》 「病人」
《聖  書》 ルカによる福音書 17:11-19

病人

 イエスはガリラヤ地方を回っていたあいだに、たくさんの病人をなおしました。今日の福音の記事で、イエスが「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言ったのは、その当時の習慣として、重い皮膚病がなおると、祭司のところへ行って、なおった事を証明してもらわなければいけなかったのです。つまり、祭司のところで、重い皮膚病がなおった事を証明してもらって初めて、街の中を大きな顔をして歩けるようになるのです。
 イエスの時代は、今のように医学が進歩していなかったので、人が病気になると、その人が何か悪い事をして悪い霊がついたと考えていました。今なら、病原菌がその人に入って病気になったと考えます。

いやし

 イエスが病人をいやされた事は、ただ病気をなおす事だけではなかったのです。病気の原因である罪のゆるしがともなっていました。イエスが病気をいやされたのはただ不思議なわざを行なって人々をひきつけるためでなく、病人が一人の人間として社会の中で公に生活できる事を願っていたのです。
 現代では確かに医学が発達し色んな病気がなおされています。でも、たとえ医学的に健康な人でもたくさんの人が病気のままです。病気の原因は、回りの人がその人を一人の人間として大切にあつかっていない事なのです。今の社会ではじゃまもの、お荷物として考えられていますから、その人のいやしはありえないのです。
 私たちがイエスと同じように病気などで苦しんでいる人たちと交わる時いやしは実現されます。

年間第28主日C年(瀧野正三郎)
[こじか1989.10.15号掲載文を加筆修正]

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