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《みことば》 「反省」
《聖  書》 マタイによる福音書 21:28-32

反省

 私たちは、それぞれ足りない面をたくさん持っています。自分でわかっていても、なかなか直すことができません。でも、大切なのは、自分はこんなに足りない点があるからだめな人間だと思わないことです。又、お互いに相手の足りない面を責めるのでなく、相手の持っているいい面も見ていく必要があります。失敗したことや、足りなかった点をくよくよするのではなく、繰り返し自分のやってきたことについて反省し、考え直すべきことがあれば考え直して、次ぎの行動に移ることが大切です。

誰が神の国に入るのか

 今日のたとえは、誰に向けて言われたのでしょうか。イエスが神殿で人々に話していた時に、それを喜ばなかった祭司長や民の長老たちが、イエスのところに来た時に言われたのです。イエスの時代の祭司長や民の長老たちは、自分たちは聖書に書かれていることをしっかり守っているから、当然神の国に入ることができると思っていました。ところが、イエスはこの人たちより徴税人や娼婦たちのほうが、先に神の国に入ると言っています。
 ここで、イエスが問題にしているのは、一人一人の行動の結果でなく、それぞれが自分の行動に対していつも反省し、考え直すべきところは考え直すように努力しているかということです。自分のしている行動はいつも正しいと思っている人は、反省しようとしないし、考え直そうともしないのです。
 イエスの回りに集まって、イエスの話しを聞こうとしていた人たちは、自分たちが生活するために、聖書に書かれている律法を守ることができないでいる人たちでした。自分たちのしていることが正しいとは思っていないので、いつも反省しながら行動していたのです。しかし、祭司長や民の長老たちは、結果だけで判断して、あいつらはだめな人間で、神の国に入るにふさわしくないときめつけていました。イエスは、そうではないということをたとえによって示そうとしたのです。
 神の国に入るにふさわしい人は、いつも自分の行動を反省し、考え直すべき点は考え直して、次の行動に移ろうとする人です。自分の考えを直そうとしない人は、神の国に入るにふさわしくない人なのです。

年間第26主日A年(瀧野正三郎)
[こじか1990.9.30号掲載文を加筆修正]

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