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《みことば》 「公平な分かち合い」
《聖  書》 マタイによる福音書 20:1-16

貧しさの原因

 今日のたとえで、イエスは何を言いたかったのでしょうか。労働者が働いた分の賃金をもらうのは、当然の権利です。ですから、この権利をあきらめるようにイエスが言っているわけではありません。イエスはこのたとえによって、もっと別のことを言いたかったはずです。
 現在、日本は経済的に豊かになっています。他方、東南アジアの国の人々は、経済的には豊かだとは言えません。ある人たちは、人々が貧しいのはなまけているからで、まじめに働けば豊かになるはずだと言います。果たして、そうなのでしょうか。
 東南アジアの国々は、もともと自然に恵まれて豊かな国でした。人々はあくせく働かなくても、自然にできるくだものや、海から取れる魚で充分食べていくことができたのです。ところが、よそから入ってきた人々が、その国で取れるものを自分たちの国に持って帰ったり、よその国に売ってしまうために、人々のために残されたものはわずかとなり、食べるのにも困るようになったのです。経済的に貧しいのは、今までの歴史と関係があるのです。

公平な分かち合い

 日本の経済的な豊かさは、このような国の人々をふみつけることによってできたことなのです。ですから、人々から取り上げたものは、返さなければいけないのです。
 このように見てきますと、ぶどう園の労働者のように不平を言うことは、正しい行動とはいえなくなります。自分の権利だけ主張して、人の権利は無視してしまうというのでは、よくないのです。
 富が無限にあるのではありません。限られた富を公平に分かち合うことが大切なのです。少なくとも、人が生きていくうえで、どうしても必要なものは保障されなければなりません。自分の働きだけを主張して、人のことをかえりみようとしない人は、福音の精神に生きているとは言えません。

年間第25主日A年(瀧野正三郎)
[こじか1990.9.23号掲載文を加筆修正]

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