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《みことば》 「天の国」
《聖  書》 マタイによる福音書 13:44-46

神の国

 「天の国」という言葉は、マタイによる福音書にだけ使われている言葉です。一般には「神の国」という言葉が使われています。マタイによる福音書は、当時のユダヤ人キリスト者を対象として書かれています。そのために、「神」の名をみだりに呼ぶなかれという戒めを忠実に守ろうとするユダヤ人の習慣に従って、「神」という言葉のかわりに、「天」という言葉でそこに住んでいる方を表わしています。
 ですから、「神の国」も「天の国」も同じ意味で使われています。しかし、旧約聖書では、「神の国」という言葉は使われていません。旧約聖書では、同じ意味の事を、「神が王である」という言葉で表わしています。「国」という表現も、「王である」という表現も、「神の国」という言葉を充分に示していません。

本当のささえ

 「神の国」という言葉で表わされている事は、私たちがそれなくしては生きていけない事を教えています。私たちにとって、生きていくためには本当のささえが必要なのです。本当のささえを得るためには、すべてのものを投げ売ってもかまわないと思うものです。
 今の社会の中で、ある人にとってのささえはお金かもしれません。お金があれば何でも手に入れる事ができるから、なんとかして利益をあげようとしてしまいます。しかし、お金によって買えないものがあります。自分たちが困難な時にそれに打ち勝つ勇気は私たちに与えられた宝です。又、お互いに人を助け合う心も、私たちに与えられた宝です。
 ふだんはなくてもいいと思っていても、それがないと生きていけないものがある事を、今日のたとえは教えています。

年間第17主日A年(瀧野正三郎)

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