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《みことば》 「大工」
《聖  書》 マルコによる福音書 6:1-6

大工

 イエスが大工の仕事をしていたことは確かでしょう。大工といっても、日本のように家を建てる仕事をしていたわけではありません。イスラエルでは、普通の家はだいたい泥土で建てられていましたから、大工の仕事は、もっぱら農業の道具として、土を耕すためのすきや、二頭の牛にすきなどを引っ張らせるためのくびきを作ることでした。また、その他に、家具なども作っていました。
 イエスは、ナザレで、大工の仕事をして大きくなりました。しかし、イエスに従った人達は、後でイエスをキリストとして呼ぶようになると、このことを無視するようになりました。どうしてそうなったかというと、イエスをキリストとして皆に伝える時に、ガリラヤの出身で、おまけに大工をしていたのでは、皆が相手にしないことが分かっていたからです。

つまずき

 多くの人達は、このようなイエスの姿につまずきました。イエスを受けいれた人達も、イエスがユダヤのベトレヘムで生れたんだと主張するようになりました。そうすれば、イエスがダビデの子孫であることを強く主張できるからです。  私たちは、こうしたイエスの姿をどのように受けとめているのでしょうか。神の子としてのイエスにすがりついて、大工のイエスを認めようとしないのではないでしょうか。
 こうしたことは、私たちが人と接する時によくあらわれてきます。私たちはどうしても人に対して先入観を持っていて、その人をありのままで受け入れようとしません。この人はこういう人だと決めつけてしまうと、せっかくその人がいい面を持っていても、それを受け入れようとはしません。外面だけで人を判断してしまうのではなく、その人の持っているいい面を探し、その人がどのように努力しているか、その人がどのように変化したかを評価していくことが大切なのです。

年間第14主日B年(瀧野正三郎)
[こじか1976.11.7号掲載文を加筆修正]

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