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《みことば》 「預言者」
《聖  書》 ルカによる福音書 4:21-30

預言者の役割

 預言者は未来を予言することが目的ではなく、神の言葉を思い出させるよう、人々に向かっていろんな呼びかけをしていました。旧約聖書にはたくさんの預言者が描かれています。キリスト教の立場から、イエスのことを前もって予言するのが預言者の役割だと考えることは片寄った見方です。
 確かに、新約聖書にはイエスの行動や言葉を伝えた後、これは聖書の言葉が実現するためであったと伝えられています。これはキリスト者がイエスの出来事を旧約聖書に照らして考えていった結果であり、直接イエスのことを予言していたという意味ではありません。イエスの死後、新約聖書が書かれるまでは、キリスト者の聖書は旧約聖書しかありませんでした。そのため、すべての行動の基準のために旧約聖書を引用していました。
 預言者の役割が未来を予言することではなくて、神の言葉を思い出させるためにあるとしたら、イエスもまた一人の預言者でした。当時の人たちが未来に来る神のさばきを待ち望んでいたのに対して、イエスはまず一人一人が神の言葉に耳をかたむけることの大切なことを話していました。

現代社会における預言者

 現代社会においても預言者が必要です。すべての人があたりまえと思っていても、神の言葉にふさわしくなければおかしいと言わなければなりません。みんなが認めているから正しいんだという考えは直していかなければなりません。
 たとえ一人であっても、自分の意見を声に出していくことが必要であり、キリスト者こそ現代社会の中で預言者の役割をはたしていかなければなりません。

年間第4主日C年(瀧野正三郎)
[こじか1980.2.3号掲載文を加筆修正]

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