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《みことば》 「解放」
《聖  書》 ルカによる福音書 1:1-4,4:14-21

ルカによる福音書

 今年の主日の福音の朗読は、ルカによる福音書が中心になっています。ルカによる福音書を通して読んでみると、特にイエスが貧しい人々や、圧迫されている人々に関心を持っていたことが強く示されています。
 ルカによる福音書は、起こった出来事を時間の経過に従って配列しています。旧約の時が終って、イエスの時代があり、その後、聖霊の働きの時代である教会の時があります。ここでの関心は、やはり教会の時であり、いかに聖霊が教会の中で働いているかを伝えたかったのです。
 このことはルカによる福音書でなく、使徒言行録に表わされています。マルコによる福音書では、ガリラヤで生きたイエスが中心に描かれていますが、これでは教会の時が見えません。教会の時代を描くことを意図して、福音書という枠組みからはずれて、使徒言行録とあわせて一冊の本として書かれたのです。
 ここで描かれている教会は、困窮のどん底にあって慰めを求めている貧しい教会なのです。ルカによる福音書が貧しい者に関心を示していた理由がここにあります。

解  放

 ルカによる福音書では、さらに解放が告げられています。解放とはそもそもどのような意味を表わしているのでしょうか。ただ単に罪からの解放という精神的な意味で使われていないことは明らかです。人間として保障されているはずのことが損なわれているので、それを回復することが解放なのです。
 発展途上国と呼ばれている国の人々が、先進国と呼ばれている国の人々と同じような生活ができるようになることが解放ではないのです。むしろ、先進国と呼ばれている国の人々から搾取されず、干渉されずに、自分たちの生活に適した文化を作りあげていくことで解放を生み出していくのです。

年間第3主日C年(瀧野正三郎)
[こじか1980.1.27号掲載文を加筆修正]

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